骨法沼男のプロ格調査報告書

骨法という沼にハマったプロレスや格闘技を中心とした潜入調査員による報告書

世界空手道連盟・士道館についての報告①「男が憧れる男たち!猛き士魂の空手家列伝 村上竜司編」

前回、我輩は掣圏道について報告させていただいたのだが、今回いよいよ骨法について綴るのかと思いきや、なんとある空手団体と取り上げることにした。

 

世界空手道連盟士道館であーる。

 

f:id:hhhhhq:20200321203748j:plain

 

そもそも士道館とはどんな空手団体なのか?

 

士道館(しどうかん)は、埼玉県所沢市美原町に総本部を置く空手団体。正式名称は世界空手道連盟 士道館(せかいからてどうれんめい しどうかん)。1978年に設立。現在は世界68カ国に支部を展開している。
極真会館在籍時に「城西の虎」と呼ばれた、第1回オープントーナメント全日本空手道選手権大会(主管:極真会館)2位の添野義二が興した。空手の他にキックボクシング、総合格闘技も指導している。世界空手道連盟 (WKA) 、マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟に加盟している。一時期は、亜細亜民族同盟初代会長柳川次郎がコミッショナーたる日本IBFにも加盟し、国際式ボクシングにも選手を出していた。
早くから、顔面攻撃や組み技に力を入れた空手団体でもある。試合でも、グローブ空手と掴み(3秒間)・首相撲・投げ技・関節技・絞め技、そして寝技(5秒間)が認められたフルコンタクト空手の二つがある。(フルコンタクト)空手を名乗る団体で、一番制約の少ない試合ルールを採用しているのが特徴。また、海外に多くの支部を抱え、大会も積極的に開催している事から、国によってはフルコンタクト空手ルール=士道館ルールを指すケースもある。
ストラングラーズのジャン=ジャック・バーネルは士道館空手ロンドン支部長。マイケル・ジャクソン士道館名誉五段。
プロレスラーの三沢光晴川田利明も若手時代は士道館で練習に励んでいた。添野は三沢にエルボー・バット、川田にキックと、両選手の代名詞である技を、それぞれ伝授している。
士道館には空手道場とキックボクシングジムを兼ね備えている道場がある(士魂村上塾、橋本道場、植野道場、児玉道場など)。空手とキックの部門は基本的に分離されているが、出稽古などの形で双方の修行をすることは可能である(キックから入門した人間が空手を習う場合は、当然空手の基礎を一から学ぶことになる)。正道会館は空手の上級者しかキックの指導を受けられないことになっており、この点が異なっている。
士道館の師範や師範代には、実際にプロのキックボクサーとしての経験がある人物も少なくない。
wikipedia/士道館

 

士道館といえば空手だけではなくプロレスやキックボクシングなど他ジャンルにも積極的に進出し、早くからグローブマッチにも対応した空手家が多く、まさしく全方位空手外交ともいえる。

 

その一方で添野館長をはじめ個性的な男達が集う空手団体という印象が強い。そこで士道館の精神「士魂(しこん)」を体現してきた猛き空手家達を紹介することにしよう。彼らこと、男が憧れる男たちなのだ。一人目はこの男である。

 

”男道伝道師”村上竜司

 

f:id:hhhhhq:20200321205647j:plain

 

まずは士道館といえばこの伝説の男・村上竜司を語らなければいけない。まるでVシネマの任侠作品に出てきそうな面構えから日本一強面の空手家と呼ばれ、空手だけではなくグローブ空手、キックボクシング、K-1、プロレスラーとの異種格闘技戦などあらゆるフィールドに参戦し、士道館の名を高めてきたのがこの村上である。グローブ空手の日本選手権であるトーワ杯では、プロレスラーの高橋義生柳澤龍志を得意の左フックで破ったことにより、プロレスラーキラーとも呼ばれた。現在は士道館最高師範・士魂村上塾塾長として後進の指導に当たり、組織を支えている。

 

f:id:hhhhhq:20200321223837j:plain

 

そんな村上の名勝負といえば、1997年7月20日K-1ナゴヤドーム大会での角田信朗戦と2001年1月30日K-1松山大会での黒澤浩樹戦。どちらも同世代の空手家対決である。

 

角田戦実現の経緯は長いドラマがある。かつて互いに空手家として黒帯になるまえの空手の新人戦で激突したことがあり、その時は角田が勝利。その後角田は常勝軍団・正道会館の斬りこみ隊長としてあらゆる空手大会に参戦し、好勝負を展開。その後、総合格闘技リングスにも参戦していた。一度は引退しレフェリーや後進の指導に当たっていた角田に対戦要望をし続けてきたのが他流試合で結果を出し、1994年に士道館世界大会重量級を制した村上。角田は村上の要望に応えK-1で現役に復帰。その熱き試合で会場を盛り上げてきた。そして二人の思いが結集したのが1997年の一騎打ち。互いに空手の道着で闘い、正面から打ち合った二人。試合は判定で角田が勝利。男泣きに暮れる角田を村上がそっと抱きしめる感動的な幕切れだった。ちなみに二人は後日、義兄弟の盃を交わしたという。

 

 そして2001年の黒澤戦は村上の引退試合として組まれた。対戦相手は村上は同世代の黒澤を指名する。黒澤はかつて極真会館で数々の伝説を残し、ニホンオオカミと恐れられた男。村上からすると黒澤は同世代ながら尊敬できる格闘家だった。黒澤が在籍していた時代の極真会館が他の空手団体とは交わらない鎖国主義(極真が主催する他流派の参加を受け入れるオープントーナメントは別)だったため、村上との接点はほぼなかったが、黒澤が独立したことで状況が変わり、K-1に主戦場を変えてきたのだ。黒澤は次々とK-1で名勝負を連発し、ファンから熱い支持を集めていた。

 

試合は壮絶だった。互いに一歩も引かないインファイトに館内は熱狂。3Rに村上が右アッパーでダウンを奪った。魂の打ち合いに両者フラフラになりながらも最後まで闘い抜いて試合終了、引き分けに終わった。

 

f:id:hhhhhq:20200321223824j:plain

 

ちなみに村上の格闘人生が映像化されたドラマがあるという。

それが「龍司」である。この作品を制作したのがVシネマのヒットメーカーであるミュージアム(現・オールイン エンタテインメント)だった。

彼の人生を実写化するには最適のメーカーである。

 

龍司 K(キング)-1を目指した男 [VHS]

龍司 K(キング)-1を目指した男 [VHS]

  • 発売日: 2007/11/25
  • メディア: VHS
 

 

 かつて村上の試合をまとめたVHSで「男道・村上竜司」という作品があったが、この「男道」こそ彼の格闘人生を象徴する言葉である。男が男としてどう生き、どう闘い、どう勝ち上がり、どう散っていくのか…。そんな男の生き様を凝縮したかのような男が村上なのである。

 

 次回も士道館特集「猛き士魂の空手家列伝」第二弾をお送りする予定である。

 

我輩からの報告は以上であーる!